
帰国当日、黒上先生による「シンキング・ツールを使った考える授業づくり」に関する研修を実施した。
今、ミャンマーでは日本の支援を受けて学習者中心型教育(CCA/LCA)を促進している。
私もJICA専門家として関わっているのだけれど、
従来の教育方法(先生にとって)、学習方法(生徒にとって)を変えるというのは
そう簡単ではない。
それでも、少しずつ学習者に学習のオーナーシップを持たせて、
自律的に学習するように促がせるようにはなってきている。
この取り組みは、もう3年以上継続されているのだけれど、
一番の問題は「思考」の部分。
ひとつは、先生自身が「考える」ということを訓練されてきていない、
つまり、いわれたとおりにしかしてこなかったため、
児童・生徒を「どう支援するかを考え」たり、
「どう授業をデザインするかを考え」たり、
「何が問題で、どう解決すればいいかを考え」たりすることが得意ではない。
もうひとつは、児童・生徒も暗記中心の勉強しかやってこないかったため、
「自分で考えてやってみなさい」といわれたところで、何をどう考えるかが分からない。
この問題は、CCA/LCAを推進していく上で問題の中核のひとつだった。
そこで、黒上先生に、「何をどう考えばいいのか」というテーマで、
研修を実施してもらうことになった。
まずは、「考える」ということことはどういうことか?
「思考」とはどういう分類があるのか?
それを「どう支援する」のか」というところからスタートし、
実際にミャンマーのカリキュラムに合わせて授業案を作ってもらった。
これまで、「考える授業」「考えさせる質問」ということが意味も分からず
簡単に使われてきたけれど、今回の研修を通して、
「考える」ということをひとつブレークダウンして「考える」ことができるようになったと思う。
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この研修までの1週間、黒上先生の献身的な指導のもと
カウンターパートが自分たちで授業プランをたて、実践して、デモ授業ビデオを作った。
何度も何度も黒上先生と議論を重ねて作った授業は、
彼らにとっては、とても価値のあるものだったに違いない!
同僚たちの言葉がより専門的、実践的になっていくのを見て、
なんだかとても嬉しい気分になった。
「分からないことが分かってくると、次に知りたいことがでてくる」
そういっていた同僚を私はすごく誇りに思う。
こうやって一緒に発展していっているという感覚は、
私にとっても、同僚にとっても、プロジェクトへの強い帰属意識につながり、
強い連帯感と責任感を醸成していると思う。
一緒に活動する月日を重ねるごとに、楽しくなっていく。
こういう感覚、なんかいいなぁ~と思いながら、帰路についた。